紅雛

大切なものを守っていく。

仲間 2

会場に着くまでの間に、きっと誰かに会うと思っていた。

誰が来るかは分からなかったけど、
そんな気がしてた。


けど、

結局誰とも会うことはなくて。

少し早目の時間だからかな、それともあんまり来ないんだろうか。




タツル!




声がした。


そこから。
もう緊張とか考えてた会話とか全部とんだ。
うまく話せるかなとか
俺だけ距離作ってるんじゃないかとか
その輪に俺は入れないんじゃないかとか

本当、きれいに打ち消された

卒業以来。
もう何年も連絡とってなかったのに。
まるで昨日まで学生だったみたいに。


俺の大切な時間がかえってきた


ただただ、嬉しいと思った。

まだ大切にしててもよかったんだ。
勝手なイメージをつくって、積極的に悪い方へ進めてたのは俺だったね。
そして、勝手に切り捨てようとしてたね。

会えたのは、俺の大学時代の仲間。
4年かけて打ち込んだ活動を通して出会えて、友達以上に付き合ってきた仲間。
あの頃の話なら一晩中できるよ。
思い出して笑いあえる、そんな話がありすぎて。
それだけ、一生懸命に走ってきた。
たくさん悩んだし嫌な思いもしたし、多忙すぎて痩せたり睡眠が足りなかったり。
悔しくて泣いた。思いが届かなくて泣いた。
労われて泣いた。先輩にまだ引退してほしくなくて泣いた。
そして、嬉しくて泣いた。
奮い立たせたことも何度もある。
そして、やっぱり”こいつらがいる”って心強さ。

思い出すだけですごい力をくれる。


大事な大事な仲間だ


あの頃みたいに話ができること。
笑いあえること。
こいつらに出逢えたこと。
奇跡。



取り戻せてよかった。
そして、自分のもやもやを取り払うことができてよかった。

忘れちゃだめだ。
今日のこの嬉しさを。
どれだけ大切な存在かを。


そして、そんな仲間の中で
俺のライバルであり一緒に駆け抜けてきた咲。



彼女の結婚式でした。